本コラムは、【連山】に 2007年05月29日に投稿したコラムです。
【旧連山コラム】世界各国における支配階級の影響力
橘みゆき 2007年05月29日
ラビ・バトラさんの提唱する社会循環論は、各時代を支配する階級が「武人」→「知識人」→「富裕者」→再び「武人」というふうに社会を支配する階級が循環するものです。
古今東西に関わらず、同じパターンで支配者階級が変わるため、歴史を振り返ったり、他国の状況を参考にすると、今後の大きな流れを見出すことが可能となります。
この図を日本史や西洋史に適用してみましょう。日本史を詳しく、世界史を簡単に説明します。
日本の歴史を振り返ると、邪馬台国の後、豪族達が争った結果、大和政権が4世紀頃に誕生します。
武力の時代の始まりです。
645年の大化の改新で中央集権国家を作っていきます。
その後、遣隋使や遣唐使で仏教を始めとする外国文化の導入を進めていき、役人や僧侶、学者などの知識人が台頭してきます。
9世紀中頃から11世紀中頃にかけて、藤原氏による摂関政治が行われます。
この時代が知識人の時代です。
平安時代、荘園や私有地の保有が認められ、武士を雇っていましたが、11世紀中頃、平家と源氏が台頭し、まず平家政権ができ、ついで源氏政権(鎌倉幕府)が誕生します。
武士は武力を背景にしているので武人といえますが、領地の拡大を目指し、最も領地を持っている武士が権力を握っていることから、富裕者による支配が本質となります。
1467年~77年の応仁の乱により、下克上の戦国時代が始まります。
戦国の世は織田信長が足利義昭を奉じて上京した1568年で終わったとすると、富裕者の時代と武人の時代の間にある社会革命が100年間も続いたことになります。
織田信長により中央集権国家が整い、豊臣秀吉の政権に引き継がれた。
豊臣秀吉が亡くなった後、政権は徳川家康に移り、江戸時代となりました。
1615年大阪夏の陣、1637年島原の乱が終了した後、鎖国したこともあり、武人の時代が終了し、知識人の時代へと変わりました。
江戸時代は商業が発達した時代でもあります。
やがて商人が台頭しだし、富裕者の時代となります。
財政の悪化で、幕藩体制が揺らいでくると共に、1853年のペリー来航により外国から開国の圧力を受けると、反幕府の動きが出てきました。
1858年安政の大獄、1860年桜田門外の変をきっかけに明治維新が行われました。
1877年の西南戦争までの間、武人の時代となりました。
その後、殖産興業、富国強兵のスローガンの下、文明開化が行われ、日本は近代国家となります。
西洋の法律や制度が積極的に導入されました。
大正デモクラシーの時代までが知識人の時代です。
第一次大戦による好景気により、日本は日露戦争の借金を返済し、債務国から債権国となりました。
資本家が増え、やがて財閥も誕生しました。
富を背景に富裕者が台頭してきたのです。
1925年、治安維持法と普通選挙法が成立します。
選挙に当選するには多額のお金が必要となりますから、富裕者の時代のスタートと言ってよいでしょう。
その後、日本は不況に陥り、軍国主義が台頭し、国民を食べさせるために海外に活路を見出しましたが、敗戦により失敗。
焼け野原から再出発をして、ついには経済大国にまでなりました。
バブル崩壊後、平成不況となりましたが、富裕者が政治権力を握っている状況は変わっていません。
現在でも「富裕者の時代」が続いています。
西洋史を簡単に振り返りましょう。
ギリシャ・ローマ時代は、武人の時代でした。
ローマ帝国が崩壊した後、キリスト教による支配となり、知識人の時代となりました。
そのうち、領地を保有する王様や貴族により封建時代がやってきます。
日本史の平家と源氏と同様に武力を背景とした武人ですが、最も領地を持っている人が王様として君臨しているので富裕者の時代です。
封建時代から絶対王政の時代に変わる際、各地で戦争にあけくれていました。
また天候不順により不作が続きました。
絶対王政の時代が市民革命により共和制や立憲君主制に移行します。
19世紀になると資本主義が発展し、多くの資本家が誕生するようになると富裕者の時代となります。
西洋の多くの国で富裕者の時代が続いています。
他の国はどうでしょう?
例えば、ロシアはロシア革命でソヴィエト連邦が誕生し、武人の時代となりました。
ソ連崩壊とその後のロシア危機を経て、プーチン大統領が出身母体のFSB(旧KGB)や官僚を率いて、資源国ロシアとして復活しつつあります。
現在のロシアは「知識人の時代」に入っています。
支那はどうでしょう?
毛沢東によって中華人民共和国ができ、共産党と軍が支配者となりました。
共産党と軍の支配はいまだに続いていますから、「武人の時代」です。
イスラム諸国は、聖職者の力が衰えつつありますが、「知識人の時代」でしょう。
上の図は、世界各国の状況が社会循環論でいうと、どのあたりに位置するのかを私の独断と偏見で示したものです。
読者の皆様もぜひ描いてみてください。
もしかすると違う図になるかもしれません。
ある国は上り坂なのか、下り坂なのかという認識が異なるからです。
この図を見ると、世界各国の支配階級がどう変わるのか、社会革命が起きそうなのか、そういった未来予測が可能となります。
アメリカの場合は、社会革命前夜。日本はまだバブル時代の残光がありますが、アメリカやEUを追いかけている状況ですから、富の一極集中や、格差拡大がひどくなるのが予測されます。
前回のコラムで示した富裕者による時代の末期に何が起こるかまとめた図を再掲いたします。
社会循環は、時計の針のように、止めることや戻すことはできないけれど、速く進めることは可能です。
国によって、時代によって速くなったり遅くなったりしているからです。
橘みゆき 拝
Neo-Generation.NETへ再掲載:2009/07/23 橘みゆき 拝
【参考文献】
新たな黄金時代―腐敗政治と経済混乱が新時代の革命を生む ラビ・バトラ (著)
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